個人事業主が青色申告で確定申告を行なっている場合は各種の特典があります。
その特典の中でも効果が大きいものが65万円控除です。
今回は事業所得のある人が65万円の控除を受けるための要件について紹介します。

青色申告で65万円控除を受けるための要件

事業所得のある人が青色申告で65万の特別控除を受けるためには次のような要件があります。

①税務署より青色申告の承認を受けている
②取引を正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳している
③取引を発生主義により記帳している
④所得税申告書に貸借対照表と損益計算書をつける
⑤65万円控除を受ける旨を記載し、法定期限内に申告書を提出する

ハードルが高いように感じますが、実際はそれほど難しいものではありません。
順番にみていきましょう。

①税務署より青色申告の承認を受けている

所轄の税務署に「青色申告の承認申請書」という書類を提出します。
一般的には適用を受けようとする年の3月15日まで。
新規で事業を開始した場合は、事業開始後2ヶ月以内に提出します。

税務署から「ダメですよ」という連絡が来なければ承認されたことになります。

②取引を正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳している

65万円控除を受けるためには取引をしっかりと記録する必要があります。
取引をしっかりと正確に記録するために採用させていているのが複式簿記という方法です。
14世紀にベニスの商人が使い始めたというのが有力が説らしいです。。

簿記の知識がある人であれば手書きで複式簿記による記帳をすることは可能です。
ですが手書きでは膨大な手間がかかるうえに必ずと言っていいほどミスがおこります。
手書きしかなかった時代は、帳簿の作成自体が会計事務所の商品だったのでしょう。

今はパソコンを使った会計ソフトのおかげで複式簿記による記帳が劇的に楽になりました。
簿記の知識があまりない人でも会計ソフトを使えば自動的に複式簿記による記帳ができます。

③取引を発生主義により記帳している

発生主義というのはお金の移動がなくても取引が発生すれば記帳するというものです。
商品を売ってその場でお金をもらわなくても、売ったときに「売上」という収入を計上します。
お金の移動で取引を計上している人は正しい時期に計算しているとは言えないため65万円控除を受けることはできません。

④所得税申告書に貸借対照表と損益計算書をつける

貸借対照表というのは資産や負債がのっています。
現預金や商品・借入金などがいくら残っているのかを表します。

損益計算書には収益と費用がのってきます。
売上から仕入・諸経費などを引いていくら利益が出たのかを表します。

損益計算書は利益を計算するために誰もが作り、提出するものです。
白色申告でも青色申告の10万円控除の人でも作ります。

65万円控除を受けるためには損益計算書だけではダメで、貸借対照表も作る必要があります。

ただこれも難しいものではなく、会計ソフトを使って日々取引を記録していくことで自動的に出来上がるものです。

⑤65万円控除を受ける旨を記載し、法定期限内に申告書を提出する

所得税申告書と損益計算書の「青色申告特別控除額」の蘭に「650,000」を記載して期限内に所轄税務署に提出します。

65万円控除で年間の負担額がどれだけ変わる?

65万円控除を受けることで所得税・住民税だけでなく、国民健康保険料も安くなります。
所得税率は最低でも5%、住民税率は一律10%、国保は自治体により異なりますが40歳以上で介護保険料がある場合は所得割が約8%。
所得に対して少なくとも約23%の税金や保険料がかかることになります。

所得税率5%の人であれば
65万円×23%=約15万円

所得税率10%の人であれば
65万円×28%=約18万円

65万円の控除を受けることでこれだけ大きな恩恵があります。
会計ソフトに多少の投資をする価値はありますよね。
しっかりと記帳することで税務署からの問い合わせにも正確に対応することができます。

何もよりも正確な記帳は事業の業績把握に欠かせません。

会計ソフトが助けてくれる

簿記にあまり馴染みのない方にハードルが高いのが、複式簿記による記帳と貸借対照表の作成ですよね。
得体の知れないものに感じますが、これは会計ソフトが助けてくれます。

特にクラウド会計ソフトだと簿記の知識とは関係なく処理できるケースも多くあります。
インターネットバンキングやクレジットカードの情報を自動で取得してくれるので表示された取引に内容を付けていくだけで記帳ができてしまうこともあります。

とはいえ全くゼロの知識から始めるのはやはり難しいものがあるので、初めだけは専門家に相談する、記帳だけは専門家にお願いするなどして65万円の青色申告特別控除を受けてみてはいかがでしょうか。

 

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